夏も日本茶を楽しもう(後編)

夏も日本茶を楽しもう。(後編)

2019.8.22

夏にぴったりな冷茶の淹れ方やお茶とお菓子の組み合わせ方まで、人形町の日本茶カフェ「ShiZen Tea」店主の麻生陽介さんに教えていただいた前回の記事。
その後編では、8月4日に同じく麻生さんを講師に招いて箱崎のケユカ デリにて開催されたワークショップ「煎茶を理解して自分の好みを知り、お菓子を楽しもう」の模様をお伝えします。

お茶全般に関する基礎知識はもちろん、お湯の温度を微調整することで、それぞれの茶葉の個性を最大限に引き出すという、プロも実践する美味しい淹れ方まで伝授する貴重なワークショップ内容で、申し込み開始から応募が殺到、すぐに定員に達し、今までのワークショップで最大のキャンセル待ちが生じる人気企画となりました。


ワークショップ

「お茶は、皆さん普段から馴染みがあるものですが、その中身をちゃんと理解する機会が少ない飲みものですよね。ぜひ今日のワークショップを通じて、お茶の美味しさ、面白さをより深く感じていただければと思います」と、麻生さんの挨拶からスタートしたワークショップ。まずは、麻生さんにご用意いただいたレジュメをもとに、お茶の種類や製造工程などを学ぶ座学コーナー。


麻生さんの説明

今回のテーマである「煎茶」とは何かということを中心に麻生さんが丁寧に説明していきます。前提としてお茶のベースは3種類に大別され、茶葉を発酵させない「緑茶」、半分発酵させる「ウーロン茶」、発酵させる「紅茶」とがあり、その一つ「緑茶」の中でも、「被覆栽培」か「無被覆栽培」かによって、お茶の種類が枝分かれするそうです。

被覆栽培とは、お茶の旨味を強くするために、収穫前の一定期間、茶畑に太陽の光を遮断するカバーをかける栽培方法で、その方法で作られるのが「抹茶」や「玉露」と呼ばれる高級茶。被覆栽培を行わない無被覆栽培で作られるお茶が「煎茶」、「玄米茶」、「ほうじ茶」。中でも、一番馴染みがあり私たちが日常的によく飲むのが「煎茶」と呼ばれるお茶となります。



そして「煎茶」の味わいの決め手として重要になるのが、「蒸す」という製造工程だそうで、収穫した茶葉を20秒〜30秒蒸したものを「浅蒸し」、30秒〜40秒蒸したものを「中蒸し」、40秒〜60秒蒸したものを「深蒸し」と呼びます。

「浅蒸しは味がすっきりで香りが強いお茶となり、深蒸しになるにつれて味が濃厚で香りが落ち着いたものになります。色も、黄色から緑色に。秒単位の蒸し時間の差で、味わいに大きな違いが出るのですね。美味しいお茶を淹れるためには、こうした茶葉ごとの性格をちゃんと知っていることが大事です」と麻生さんはいいます。

続いて、麻生さんが実演で美味しいお茶の淹れ方を説明していきます。


麻生さん実演

麻生さん実演


大事なポイントは3つあるといいます。

1つ目が、お湯の温度です。「100℃のように沸騰している温度のお湯だと、お茶の渋みの成分であるカテキンがよく出るのですが、逆に旨味の成分であるアミノ酸が出にくいのです。その構造をよく頭に入れておいてください」と麻生さん。一般的には80℃のお湯で淹れるのが一番バランスがよいのだそうです。

2つ目が、茶葉の量と湯量。100ccに対して3グラムが目安だといいます。抽出時間は1分間。それ以上抽出するとカテキンが出過ぎてしまうので要注意だそう。

3つ目が、急須からの注ぎ方。急須の中のお茶は味が均質ではなく濃淡の層になっているため、最初に出る方が薄く、後から出る方が濃くなるので、何杯か淹れる場合は、数回に分けて、均等に淹れることが大切だといいます。「1人前を淹れるときも、数回に分けて淹れてください。分けることで、急須の中で茶葉が泳ぎます。茶葉が泳ぐことで、より茶葉が開いて味がしっかり抽出されます」


麻生さんによる実演が終わると、いよいよ参加者の皆さんがお茶を淹れていきます。体験は2段階に分かれています。最初は、麻生さんが用意した3つの茶葉、浅蒸しの「森煎茶」、中蒸しの「美緑煎茶」、深蒸しの「さえみどり」をそれぞれ同じ方法で淹れて、味わいの違いを体験します。その次に、好みの茶葉を一つ選び、70℃のお湯、80℃のお湯、90℃のお湯と3回に分けて淹れて、飲み比べていきます。

最初の茶葉ごとの飲み比べはもちろんのこと、参加者の方のリアクションが大きかったのがお湯の温度の違いによる飲み比べです。


飲み比べ

深蒸しの「さえみどり」を選んで飲み比べた参加者の方は、「90℃と80℃でも、別の茶葉を使っていのじゃないかと思うぐらい味が全然違いますね。渋みが減って、旨味が増した感じ。70℃にすると、さらに旨味がまして、90℃で飲んだ時とはまったくの別物。びっくりしました」と驚きを隠せないご様子。

「茶葉によって、最適のお湯の温度というものがあります。香りの強い浅蒸しの森煎茶であれば80℃で淹れると最も香りが立ちます。しっかりとした旨味を持っている深蒸しのさえみどりであれば、低い温度70℃ぐらいだと旨味がより引き出されます。お店では65℃で淹れることもあるぐらいです。ぜひ、ご自身の好みを探していただければ」と麻生さんが締めくくります。


最後は、お菓子とお茶との組み合わせについて。麻生さんにご用意いただいたのが3つのお菓子、最中とレモンケーキとデーツのドライフルーツです。それぞれのお菓子の特徴である、甘味、酸味、塩味を意識しながら、お茶の種類を組み合わせるとさらに味わいが増すといいます。例えば、すっきりとした味わいで香りが強い浅蒸しの「森煎茶」に、酸味と甘味を備えたレモンケーキを合わせると、お互いが要素を補いあって、それぞれ単体で味わう時よりも、格別な美味しさが口いっぱいに広がるとのこと。

麻生さんに促されるままに、お茶とお菓子のマリアージュを試してみる参加者の皆さん。お茶とお菓子の組み合わせを深く意識して食べることは初めてだったのか、「美味しい、美味しい」と感嘆の声がそこかしこから聞こえてきました。


お菓子を食べ終えて、2時間のワークショップは終了。お茶の飲み比べと最後のお菓子の試食でお腹も一杯、内容も充実したものだったのか、皆さん満足気な表情で会場を後にして行きました。

ワークショップに参加できなかった方も、今回の記事を参考にしながら、ぜひご自宅でも様々な方法を試しながらお茶を淹れてみてくださいね。茶葉の性格や抽出の仕組みを知れば知るほど、お茶の世界がもっともと楽しくなってくるはずですよ。ケユカでは、秋に向けてさまざまな日本茶関連の新商品を発売します。ぜひテーブルコーディネートとあわせて、お茶の時間をお楽しみいただければ幸いです。


渦白 湯呑


麻生陽介さん

■講師 プロフィール
麻生陽介
アメリカで生まれ育ち18歳の時に大学進学で日本へ。大学卒業後、日本の食品を海外へ輸出する卸売会社を立ち上げる。日本茶の輸出に関わる中で、日本国内に本格的な日本茶を気軽に飲める場所が少ないことに疑問を抱き、2018年11月に人形町で日本茶専門カフェ「ShiZen Tea」をオープン。全国の茶の産地や生産者を頻繁に訪れながら、日本茶の魅力を発信し続けている。

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カテゴリ : キッチン用品