実際に使ってみることから生まれた装飾性と機能性
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実際に使ってみることから生まれた
装飾性と機能性

2016.9.12

ガラスのような透明感と、プラスチックの耐久性を兼ね備えたトライタンシリーズ。前回のstyleではその製造を担っている石川樹脂工業株式会社への取材を中心に、その魅力についてレポートしました。前回のレポートはこちら。
今回はトライタンという新しい素材をどのように商品に展開していったのか、ケユカのデザイナー石川沙月さんに話しを聞きました。

トライタンシリーズの始まりは、製造を担っている石川樹脂工業から提案されたタンブラーがきっかけでした。
「トライタンという素材はダイオキシンなどの環境ホルモンを含んでいないため、人にも環境にも優しいということ。強くて割れないので子どもも安心して使えるということ。その上、ガラスのように透明度が高く、安っぽく見えないということで、取り扱ってみようという話になりました。」

タンブラーを商品化するため、最初にこだわったのは色でした。透明さが売りのトライタン。その特徴を活かすため、淡い色のカラーバリエーションが必要でした。厚みによって色の濃淡の見え方が変わるなど、実際に形にしてみないと分からないため、何度も試作を繰り返したそうです。

シリーズの最初の商品であるクラップ タンブラーは、お客様にも好評だったため、シリーズ展開が始まりました。一から型を起こして生まれた商品がカラットシリーズです。

「トライタンの素材上、クリアで、一目見ただけではガラスかと思うくらいです。その特徴をいかして、カットガラスのようなイメージでデザインを考えていきました。
光の反射でよりキラキラ感が出るように、シャープなカットを心がけました。初めてデザインする素材だったので、何度もラフを描き直して、今の形に近づけていきました。」

さらに、見た目だけでなく、使用感を考慮して、様々な配慮がされています。
「プラスチックは軽いので、ボウルなどの場合、底面を小さくしすぎると、ひっくり返ってしまいます。ガラスだと重みがあるので、そういったことはないのですが、カラット ボウルなどは、きっちり底面をとり、使っている時にひっくり返らないようにしています。」

試作段階では、ご自身はもちろん、同僚にも使ってもらって、感想を集めたそうです。
「実際に使ってみる中で最も変化したのがサイズ感でした。最初のモデルはもっと大きかったのですが、使ってみて大きすぎることに気づきました。テーブルウェアは全般的にサイズが大きくないので、1cmの違いで見た目の印象や使用感が全く変わってきます。」

このような試行錯誤から培われたノウハウが新商品のルミックシリーズにもつながっていきます。
「トライタンシリーズは、アウトドアでの使用にも適しているので、カジュアルなアウトドアのパーティーなどでも使えるように考えました。ワイングラスだと細長くて背の高いものが多いですが、大人もお子さんも気軽に安心して使えるよう背を低くデザインしています。 飲み心地をよくするために、できる限り縁を薄くしていますが、これが実現できたのもトライタンという強い素材のおかげです。」

単純にきれいな装飾を考えるだけでなく、製造にまつわる短所もデザインによって解決しているそうです。
「プラスチックは成形上、型のつなぎ目が出てしまいます。それが目立つとプラスチックの安っぽさが出てしまいます。その部分が上手に隠れるように、型の構造を考慮しながら、つなぎ目にうまく合うように模様の数や形を調整していくことに苦労しました。」

意外にも最初はプラスチックの食器に抵抗があったと石川さんは言います。
「安価とか子どもが使うものというイメージがありましたが、実際に形にして、自分の家でも毎日使っています。そうするとまったく違和感がなく生活に溶け込んでいることを感じました。」

プラスチックという素材の概念を変化させたトライタンという新素材と、その特徴を最大限に引き出すデザイン。装飾性と機能性、その両面から考えられたトライタンシリーズは、今後も新たな商品展開で私たちの生活にうるおいを与えてくれそうです。

カテゴリ : キッチン用品